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昆布の賞味期限切れ10年は食べられる?古いほど旨くなる食材の不思議な話

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実家の引き出しから、いつのとも知れない昆布が出てきた

帰省したとき、母がだし用の昆布を出してきた。賞味期限を見たら、10年以上前の数字が書いてあった。え、捨てないの?と言ったら、昆布はいいのよ、という返事が返ってきた。自信満々に。

その自信はどこから来るのか。正直、半信半疑だった。でも調べてみると、母の言っていることはだいたい正しかった。それどころか、古い昆布のほうがうまいという話まで出てきた。

乾燥昆布の賞味期限は約10ヶ月、でも設定の仕組みを知ると話が変わる

乾燥昆布の賞味期限は一般的に10ヶ月ほどで、商品によっても異なる。賞味期限は開封前かつ正しく保存していることが前提の期限。

10ヶ月という数字だけ見ると、10年物はとっくにアウトに見える。でも賞味期限という言葉の意味を正確に理解すると、判断が変わってくる。

乾燥昆布は水気もないため賞味期限を過ぎたからといっても未開封の場合なら酸化の影響もほとんど受けないため、状態を確認した後なら食べても問題ない食材といえる。

腐敗には水分が必要。昆布は徹底的に乾燥させた食品で、菌が繁殖できる環境を持っていない。だから賞味期限を過ぎたからといって即座にアウトにならない。問題は安全性ではなく、風味が落ちているかどうか。

白い粉はカビじゃない、旨みの結晶という話

古い昆布を見ると、表面に白い粉が吹いていることがある。カビだと思って捨てた人がいたら、それは大きな間違い。

乾燥昆布の表面についている白い粉の正体はマンニットという成分で、食べても問題はない。マンニットは甘味成分の一種で、昆布を乾燥させる過程で中の水分と一緒に表面に染み出して白い粉状に付着する。マンニットは旨味成分でもあるので、使用する際は洗い流したりしないようにしたほうがよい。

旨みが表面に出てきた状態。洗い流したら旨みを捨てていたことになる。白い粉が多いほど旨みが出ている証拠、という見方もできる。これを知ってから、白い粉の昆布への接し方が変わった。

料亭では仕入れた昆布を寝かせてから使う、という話

ここが一番面白い話。昆布は古いほうが旨くなる可能性がある。

出汁にこだわる料亭が1〜2年寝かせてから使う理由

出汁にこだわる料亭では、仕入れた昆布をさらに1〜2年ほど寝かせてから使うこともある。そのため一般家庭でも正しい方法で保存し異常がなければ、賞味期限から1〜2年程度過ぎても問題なく食べられる。

寝かせることで何が変わるのか。タンパク質が分解されてアミノ酸に変わる過程で、グルタミン酸が増える。グルタミン酸は昆布のだしの主要な旨み成分で、食品の熟成とうまみ成分には深い関係があり、肉類や魚類も時間の経過によってたんぱく質が分解されてアミノ酸の一つであるグルタミン酸が増える。

昆布も同じ原理で、ゆっくり熟成させるほどグルタミン酸が増えて旨みが深くなる。だから捨てなかった母は、正しかった。年代物の昆布、むしろ旨みが乗っていた可能性がある。

うま味という概念を生んだのが昆布だった、という話

1907年、東京帝国大学の池田菊苗博士は日本人が古来からだしをとるのに使っていた昆布に着目し、ここからグルタミン酸を抽出して5つめの味をうま味と命名した。その後、1913年に池田博士の弟子がかつお節のうまみ物質イノシン酸を発見した。

甘味、酸味、塩味、苦味の4つに続く5番目の味の発見が昆布から始まった。1908年に発見されたうま味という概念が、今やUMAMIとして世界語になっている。その出発点が、台所の引き出しに眠っている昆布と同じもの。なんか急にその昆布がすごいものに見えてくる。

腐った昆布の見分け方を知っておく

古くても食べられる可能性が高い、と言っても全部セーフではない。ダメになっているときのサインは明確にある。

これが出たら捨てるという3つのサイン

昆布が傷んでいる際に現れる特徴として、酸化が進むと変色してしまい香りが薄くなることや風味が落ちることがある。本来の昆布の香り、海の香りが全くなくなって、酸っぱいにおいや腐敗臭がするようになったら捨てる。

ぬめりが出ている、カビが生えている、見た目が黒ずんでいる、も同様にアウトのサイン。白い粉はセーフで、緑や黒のふわふわしたものはカビ。この区別だけ覚えておけば判断できる。

湿気がいちばんの敵で、湿気を吸った昆布は急速に劣化する。密閉容器で冷暗所に保管していたものは、10年経っていても状態が良い場合がある。逆に台所の湿気が多い場所に開封したまま置いていたものは、1年で劣化することもある。保管状態が全てを決める。

この話が会話で使えるのは全員が味噌汁を飲んでいるから

昆布だしを使う家庭、使わない家庭、いろいろある。でも昆布を知らない人はほぼいない。おでんの昆布、佃煮の昆布、お土産の昆布。何らかの形で関わっている食材で、全員が当事者になれる。

捨てるか使うかで価値観が出る話

期限が切れた食材をすぐ捨てる派と、様子を見て判断する派に分かれる。昆布に関しては、状態確認派のほうが実は正しい判断をしていることが多い。捨てる派の人に、昆布は古いほどうまくなることがあると伝えると、え本当に?という反応になる。

正しい方法で保存し異常がなければ賞味期限から1〜2年程度過ぎても問題なく食べられる。これを知ったうえで、じゃあ10年はどうかという問いを会話に投げると、そこから各自の感覚の違いと食品への向き合い方の話になる。どこまで許容できるかの基準が人によってまるで違って、その違いがそのまま価値観の話になっていく。

白い粉をカビだと思っていた人への情報として使える

白い粉が吹いた昆布を見てカビだと思って捨てた、という経験がある人は多い。そこに、あれはマンニットという旨み成分が出てきたもので、むしろ洗い流したらもったいない、という話を渡すと確実に驚かれる。知らなかった、と言われる確率がかなり高い話で、会話のタネとして使い勝手がいい。

うま味という言葉が昆布の研究から生まれた話まで続けると、あの台所の引き出しに眠っている昆布の見え方が変わる。小さな食材の話から、日本の食文化の根っこに触れる展開になる。食べ物の雑学が一番深くなるのは、こういう瞬間だと思う。

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この記事を書いた人

会話のタネ編集部
日常のちょっと話したい、でも何を話せばを解決するために生まれた編集チーム。
人間観察が好きで、感情をそのままぶつけるのではなく、エンタメとして包んで伝える時代のコミュニケーション雑談のコツや話題の見つけ方を研究しています。
読んだその日から使える軽やかな会話術をお届けします。

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