健康にいいと思って毎日食べていたら、別の問題が出てきた
サバ缶ブームが来て、次はイワシ缶だと聞いて、週に5日くらいの頻度で食べていた時期がある。安い、手間なし、魚も摂れる、最高じゃないかと思っていた。でもある日、健康診断の結果を見て引っかかりを感じた。尿酸値がじわっと上がっていた。
あれ、まずかったかな…。体にいいと思って食べていたものが、角度を変えると体に悪い側面を持っていた。この話、けっこう多くの人が経験していると思う。
体に悪いと言われる理由はふたつだけ
いわし缶が体に悪いと言われる理由を整理すると、プリン体と塩分に絞られる。この2点以外は基本的に体への悪影響はない。
プリン体はイワシ100gあたり約210mg含まれている。1日のプリン体摂取の推奨上限は400mgとされているから、1缶でその半分以上を使い切る計算になる。他の食事でビールや肉を摂っていると、あっさり400mgを超える。プリン体が体内で分解されると尿酸になって、それが溜まると痛風になる。足の親指の付け根が猛烈に痛くなると言われるやつ。あの痛みを知っている人の話を聞くと、二度とプリン体を気にしない食事はできないと言う。
塩分は種類によって全然違う
塩分の問題は缶詰の種類で大きく変わる。水煮缶と味付き缶では含まれる食塩量が全然違う。みそ煮や醤油味の缶詰は1缶で食塩量が2gを超えることもある。厚生労働省の目標は成人男性で7.5g未満、女性で6.5g未満だから、1缶でかなりの割合を消費する。
水煮缶は味付き缶と比べてずっと塩分が少ない。同じいわし缶でも選択で体への影響がかなり変わる。健康目的で食べるなら水煮一択という話は、管理栄養士が口を揃えて言うことで、間違いない。
でも実は、生のイワシより缶詰のほうが栄養が高いという話
体に悪いという面ばかり先行しやすいけど、逆の話を知るとびっくりする。
缶詰のイワシは生のイワシの1.5倍のDHA、4倍のカルシウムを持つ
大日本水産会のデータによると、イワシの缶詰は生のイワシと比べてDHAが約1.5倍、EPAが約1.3倍、カルシウムが約4倍含まれている。なぜこんなに差が出るのか。理由は骨ごと缶に入っているから。
生のイワシを調理するとき、骨を取り除いて食べることが多い。でも缶詰は高温高圧で加熱されるから骨まで柔らかくなって、骨ごと食べられる。骨に含まれるカルシウムが丸ごと摂れる。しかもあばら骨周辺の脂が多い部分が缶に含まれているから、DHAとEPAも豊富になる。マグロでいう大トロに近い部分が骨ごと入っているイメージ。
缶の汁を捨てるのが一番もったいない
缶を開けて中身だけ取り出して、汁を流しに捨てているとしたら、栄養の大事な部分を捨てている。汁にDHAとEPAが溶け出している。缶を開けたとき表面に浮いている脂、あれがそれ。
缶詰に含まれる栄養を余すことなく摂るなら、汁ごと料理に使う。みそ汁に入れる、スープに使う、炊き込みご飯に汁ごと入れる。この一手間で摂れる栄養量がかなり変わる。知らずに捨ててきた人が知ると、次から絶対やると言う。
焼いたり揚げたりすると半分以上のDHAが消えるという衝撃
生のイワシを調理するとき、焼いたり揚げたりすると熱でDHAとEPAが約半分失われる。高温で酸化が進むため。缶詰は製造時に高温処理されているが、その後は密閉されているから開封するまで酸化が進まない。開封後は早めに使い切るのが前提で、空気に触れた瞬間から酸化が始まる。開けたら余った分を別の皿に移して早めに使う、それだけで品質を保てる。
1日1缶以内という目安と、その根拠
管理栄養士が推奨する頻度は1日1缶以内。これはプリン体の上限と塩分の両方を考慮した上での目安で、毎日食べても週3〜4回でも、1缶を超えなければリスクが極端に上がるわけじゃない。
痛風の既往がある人、尿酸値が高い人、高血圧の人は特に量に気をつけたほうがいい。この3つに当てはまらない人が水煮缶を1日1缶食べる分には、体への悪影響より恩恵のほうが大きいと言える。
この話が食卓の会話になる場面
缶詰を食べている人、健康を気にしている人、魚が苦手な人、全員に刺さる話題になる。
体にいいと思っていたものに落とし穴があった構造が面白い
健康にいいと聞いて毎日食べていたら、別の問題が出てきた、という話の構造はよくある。でもいわし缶の場合は、悪い側面と良い側面が両方ちゃんとあって、ただの体に悪い話にも、ただの健康食品礼賛にもならない。この両面性が話として面白い。
あなたって缶詰よく食べる?という入り口から、缶の汁を捨てるか使うか、水煮と味付きどちらを選ぶかという話に進める。汁を使うという発想がなかった人に伝えると、それ知らなかった、という反応が確実に返ってくる。
サバ缶とイワシ缶どちらが好きかで話が分岐する
サバ缶派とイワシ缶派に分かれる話をすると、そこから好みの話、普段の食生活の話、実際に毎日食べているかどうかという話に広がる。栄養の話として出しながら、結局食の習慣と好みの話になっていく。その展開が雑談として一番自然で、気づいたら深い話になっていた、という流れが起きやすい。
管理栄養士によるとサバ缶よりイワシ缶のほうがEPAの含有量が多い。内臓脂肪の生成を抑制する作用があるEPAはイワシ缶の得意分野。でもサバ缶のほうが馴染みがあって食べやすい、という人が多い現実もある。どちらが優れているかではなく、どちらが自分の食生活に合っているかで選べばいい、という話で着地すると、押しつけがましくなく終われる。

コメント