白いつぶつぶをゴマだと思って何十年も食べていた
あんぱんの真ん中に乗っている白いつぶつぶ。ずっと白ゴマだと思っていた。黒いあんぱんには黒ゴマ、白いあんぱんには白ゴマ、という認識だった。でもある日、あれゴマじゃないらしいよ、と言われた。
え、ゴマじゃないなら何?と調べたら、ケシの実だった。ケシ。あの麻薬の原料になる植物。それがあんぱんの上に乗っている。え、食べて大丈夫なの?という疑問が一気に湧いた。何十年も食べてきたものの正体が、想像と全然違っていた。
白いつぶつぶはゴマではなくケシの実
オーソドックスなあんぱんの上にはゴマなどが乗せられている。黒い粒々についてはもちろんゴマだが実は白い粒々についてはゴマではない。あの白い粒々はケシの実であり日本初のパン屋である木村屋の前身の文英堂で作られたあんぱんにはゴマではなくケシの実が乗せられていた。
黒いつぶつぶは黒ゴマだけど、白いつぶつぶはケシの実。同じあんぱんでも、乗っているものが違う。木村屋という日本初のパン屋が、あんぱんにケシの実を乗せたのが始まり。だから伝統的なあんぱんの上にはケシの実が乗っている。白ゴマだと思っていたあれは、植物としては全く別のものだった。
このケシの実、見た目が黒ごまにそっくりであんぱんの中身以上にごまと区別がつかない。もうこれもごまでいいじゃんと思ったりするが植物としては全く別物。ケシいわゆるポピーが日本に伝わったのは江戸時代でプチプチとした食感が好まれ定着した。ごまと同じくミネラルやビタミンB群、100gあたり22.6gの鉄が含まれていて栄養価は申し分ない植物。
ケシの実はポピーシードとも呼ばれる。あのプチプチした食感が、あんぱんのアクセントになっている。栄養価も高くて、鉄分やミネラルが豊富。見た目はゴマそっくりでも、別の植物。ゴマだと思って食べていたあの食感は、実はケシの実のものだった。
麻薬の原料なのになぜ食べられるのか
ここが一番気になるところ。ケシといえばアヘンやヘロインの原料。それを食べて大丈夫なのか。
ケシと言えば麻薬の原料、アヘンになる事で有名だがケシの花が有毒なのであってケシの実は無毒、あんぱんの上にそえたりする。あんぱんに使われているケシの実はヒナゲシの実で法律で栽培が禁止されていないケシの実。ケシの実の殻や花は麻薬の原料になる。ケシの栽培は法律あへん法で禁止されていて厚生労働大臣の許可がないと栽培できない。
麻薬成分があるのは、ケシの未熟な果実の殻や乳液の部分。種子であるケシの実には麻薬成分がほとんど含まれていない。植物の部位によって毒の有無が分かれている。ザクロの皮に毒があって中の実は食べられる話と似た構造で、ケシも危険な部分と安全な部分がはっきり分かれている。
ケシといえば麻薬の原料であることからなんだか危ないものを思い浮かべるかもしれない。しかし食用のケシの実には麻薬成分が含まれておらずきちんと加熱処理が行われていることから絶対に安全。実際にあんぱん以外にも七味唐辛子にもケシの実が使用されている。
さらに食用のケシの実は加熱処理されているから、発芽することもない。七味唐辛子にも入っていて、あの中の白っぽい粒がケシの実。日本人は意外とケシの実を日常的に食べている。麻薬の原料という言葉のインパクトとは裏腹に、食用のケシの実は安全。
なぜケシの実を乗せたのか
なぜケシの実が採用されたのかは諸説あるがパンを少しでも和風にするためであったり単純に香ばしかったからともいわれている。
理由は諸説あって確定していない。西洋から来たパンを和風にするため、という説。ケシの実の香ばしさを加えるため、という説。明治時代、文明開化でパンが入ってきたとき、日本人になじみやすいように工夫した結果のひとつがケシの実だった可能性がある。
真ん中のへこみにも意味がある
あんぱんの真ん中がへこんでいて、そこにケシの実が乗っている。このへこみにも理由がある。あんこの量が多い真ん中を少し押すことで、パン生地とあんこが均等に焼けるようにする、という実用的な意味がある。そして桜あんぱんには桜の塩漬け、ケシの実のあんぱん、ゴマのあんぱん、というように、上に乗っているもので中身のあんの種類を見分けられるようにした、という説もある。つぶつぶが種類のしるしになっている。
この話が会話のタネになる理由
あんぱんを食べたことがない人はほぼいない。でも上のつぶつぶの正体を知っている人は少ない。
ゴマじゃなくてケシの実という意外性
あんぱんの上の白いつぶつぶ、ゴマだと思ってない?あれケシの実なんだよ、という話を出すと、え、そうなの、という反応が確実に返ってくる。しかも麻薬の原料のケシ、という話を続けると、え、食べて大丈夫なの、という次のリアクションになる。種子には麻薬成分がない、という説明で安心して、ザクロの皮の話と同じで植物の部位で毒が分かれる、という話に広がる。
七味にも入っているという話で食卓に広がる
ケシの実は七味唐辛子にも入っている、という話を加えると、知らないうちに結構食べてた、という気づきになる。普段当たり前に食べているものの正体を知る、という雑学の王道で、しかも食卓ですぐ確認できる。あんぱんを食べながら、七味を見ながら話せる。さつまいものヤラピンやエビの尻尾の話と同じで、身近な食べ物の意外な正体は、誰もがその場で当事者になれて盛り上がる話題になる。

コメント