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恵方巻きをしゃべらない理由は福が逃げるから?起源から辿ると全然違う話が出てきた

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家族で黙って食べている間、何を考えればいいのかわからなかった

節分の夜、家族全員で恵方を向いて、誰もしゃべらずに太巻きを食べる。子どもの頃、あの時間が謎だった。なんで黙ってるの?と聞くと、しゃべると福が逃げるから、と言われた。福が逃げる。口を開けたら福が飛び出す、という理解でいた。それ以上調べなかった。

大人になって調べると、しゃべらない理由の起源が想定と全然違う場所から来ていた。

福が逃げるという理由は後付けで、元々は遊びのルールだった

恵方巻きの無言ルールのルーツを辿ると、大阪の花街で芸遊びの一環として行われていたという説がある。旦那衆が芸妓たちに太巻きを丸かじりさせ、その様子を面白がったという意外なエピソードが残っている。この遊びの中では最後まで食べきるまで喋ってはいけないというルールがゲーム性を高める要素として使われていた。遊び心から始まったこの無言ルールが次第に縁起担ぎの意味合いを強めていったと言われている。

遊びのルールが、いつのまにか縁起担ぎになった。笑えるゲームが、いつのまにか厳粛な儀式になった。最初はゲームとして黙っていたのに、時代が下るにつれて宗教的な意味が乗っかってきた。

最初は娯楽的な側面が強かったものの時代が下るにつれて節分の厄除けという宗教的な意味と結びついた。その結果現在のような真剣に無言で食べるというストイックなスタイルへと進化を遂げた。

遊びが宗教的慣習になった、という変遷は文化の歴史としてけっこう面白いパターンで、恵方巻きに限った話じゃない。起源を調べると全然違う顔が出てくる行事や慣習は、日本の年中行事に多い。

1932年の寿司組合のチラシがすべてを変えた

1932年には大阪鮓商組合がこの風習を広めて寿司業界を活性化しようと節分の日に恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすれば其の年は幸運に恵まれるというチラシを配った。

1932年のチラシがある。寿司屋の業界団体が商売のために配ったチラシが、現代の節分の儀式の原型になっている。食文化のプロモーションが民間行事として定着した例として、恵方巻きはかなり露骨なケース。コンビニが全国に広げた話もあって、食品業界の販促が伝統行事に見えるまでに熟成された。

恵方巻きのルールを全部並べると独特さがわかる

しゃべらないだけじゃなくて、他にもルールがある。並べると不思議なセットになっている。

恵方を向く、切らない、一本丸ごと食べきる

恵方巻きを食べるときは今年の恵方を向いて食べることが基本。恵方とは歳徳神という神様がいるといわれる吉とされている方角。食べ終わるまでは恵方だけを向いて食べ、よそ見をしているとご利益が得られないと考えられている。恵方巻きは切り分けずに一気に一本食べきるのがよいとされており途中で食べるのをやめてしまうとご利益が得られないといわれている。

一本まるごと食べきる、という部分が近年問題になっている。子どもや高齢者には太巻き一本を丸かじりしながら完食するのが難しい。切ってはいけない理由は福を切らないためという説があるが、実際に切って食べている家庭も多い。ルールの厳守と現実の食べやすさのどちらを優先するか、という話になる。

目を閉じて食べるという説もある

恵方巻きは福を巻き込む寿司なので途中でしゃべると福が逃げてしまうといわれている。願い事をしながら黙って食べる。

地域によっては目を閉じながら食べるルールもある。笑いながら食べるという説もある。地域ごとにバリエーションがあって、統一されていない。全国に広まった歴史が浅いから、まだルールが固まっていない行事でもある。

恵方が毎年変わる仕組みを知らない人が多い

恵方が毎年変わること、知っていても理由を知らない人は多い。

歳徳神という神様が毎年引っ越しをする

恵方とは歳徳神という神様がいるといわれる吉とされている方角。歳徳神はその年の最も吉とされる方角に居る神様で、毎年移動する。その神様がいる方向を向いて食べると福を授かれる、という考え方。

恵方の方角は東北東、南南東、西南西、北北西の4方向のローテーションで、だいたい決まっている。スマートフォンのコンパスアプリで確認できる。毎年ニュースになるほど発表されるわりに、なぜ変わるのかを説明できる人は少ない。神様が毎年引っ越しするから、という説明は意外と記憶に残る。

節分の話が会話で止まらなくなる使い方

恵方巻きを食べたことがない日本人はほぼいない。でも発祥や、なぜ黙るのかを知っている人は少ない。

起源が花街の遊びだったというインパクト

恵方巻きをしゃべらないで食べる理由、実は花街の遊びから来てるらしいよ、という一言で場が動く。え、それどういうこと?という反応が来て、芸妓遊びのゲームルールが縁起担ぎになった話を続けられる。

1932年の寿司組合のチラシの話を加えると、業界の商売戦略が伝統行事になった、という話になる。バレンタインのチョコレート業界と構造が同じ、という話も繋げられる。食品業界が作った行事が伝統として定着するパターン、身近な例として二つ並べると話として面白くなる。

ちゃんとルールを守って食べてる派と、適当派で盛り上がる

恵方巻き、ちゃんとルール守って食べてる?という問いを誰かに投げると、全部守ってる、切って食べてる、そもそも食べない、という3パターンに分かれる。全部守ってると言う人に、遊びのゲームルールが起源らしいよ、と伝えると笑いになる。適当派の人が、そもそも花街の遊びらしいからいいんじゃないか、と言い出したりする。起源を知ると守り方の感覚も変わる、という展開になる。

食べながらしゃべれないから、食べ終わった後に話が爆発する。あの沈黙が終わったときの解放感、家族と食べたときの記憶として残っている人は多い。恵方巻きの記憶から、家族の話になることが多いのも、この食べ物の会話としての強さだと思う。

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この記事を書いた人

会話のタネ編集部
日常のちょっと話したい、でも何を話せばを解決するために生まれた編集チーム。
人間観察が好きで、感情をそのままぶつけるのではなく、エンタメとして包んで伝える時代のコミュニケーション雑談のコツや話題の見つけ方を研究しています。
読んだその日から使える軽やかな会話術をお届けします。

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