MENU

スープを常温で一晩放置したら危ない?再加熱しても死なない菌がいる話

目次

翌朝、鍋のスープをそのまま温めて飲んでいた

前日に作ったスープ、残ったまま鍋を火から下ろして、蓋をして、そのまま翌朝まで置いておく。温め直して飲む。長年やってきた習慣だった。冬ならさらに平気だと思っていたし、一度も体調を崩したことがなかったから、疑う理由もなかった。

でもある日、同じことをやっていた友人が夜中に腹痛で救急に行った話を聞いた。前の晩のスープを朝に温めて飲んだら、昼から腹痛と下痢が始まった、と。病院でウェルシュ菌の食中毒と言われた、と。

ウェルシュ菌。初めて聞く名前だった。

ウェルシュ菌は加熱しても死なない、というのが厄介の本質

ウェルシュ菌は芽胞を形成して生き残るため、100度の加熱でも死滅せず、通常の加熱調理だけでは死滅させることが困難。ウェルシュ菌が増えることのできる温度帯は約12度から50度で、常温のまま長時間放置するとウェルシュ菌が増殖する。

これが怖い。普通の菌なら加熱すれば死ぬ、という感覚がある。でもウェルシュ菌は沸騰させても死なない。芽胞という耐久性のある形に変化して、熱が収まったあとにまた増殖を再開する。ぐつぐつ煮ても意味がないパターンがある、ということ。

ウェルシュ菌は100度の加熱を1時間から6時間続けても死滅しない。食材を大量に調理するところで発生し、一度に多くの患者数が出るため給食病とも呼ばれている。菌はほとんど無味無臭のため、食後すぐには感染したことに気づかず、病院の閉まった夜半から苦しみだすという場合もある。

無味無臭。においで気づけない。見た目も変わらない。それが一番怖いところで、普通に飲めると判断して飲んでしまう。

スープが危ない理由は酸素が少ない構造にある

ウェルシュ菌は酸素のないところで増殖する。食肉、魚介類、野菜類を使用した煮物や大量調理食品の中心部に酸素がない状態になりやすく、スープ、カレー、冷やし中華のたれなどが原因になる。

スープやカレーは鍋の中心部に酸素が届きにくい。まさにウェルシュ菌が好む環境。煮込んで蓋をして放置、という行動が、菌にとって最適な住処を作ることになっている。知らなかった、という人が多い構造。

症状が出るのが6時間から18時間後、というタイムラグが厄介

ウェルシュ菌食中毒の主な症状は腹部膨満感、腹痛、下痢で、発熱や吐き気、嘔吐などはほとんどない。潜伏期間は食後6時間から18時間後で平均10時間で、ほとんどの場合が比較的軽度な症状のみで回復する。

朝に飲んだスープが昼過ぎに腹痛を引き起こす。夜に飲めば夜中の2時頃に症状が出る。あの友人がまさにそのパターンだった。何を食べたかを遡って考えたとき、朝のスープに行き着くまで時間がかかる。原因特定が難しい食中毒でもある。

軽症で治る場合が多い、というのが救いではあるけど、夜中に急に腹痛が始まったときの恐怖はまた別の話。

冬なら大丈夫、という思い込みが崩れる話

菌が繁殖しやすい温度は20度から50度前後で、冬であっても暖房で暖かい部屋の中に置いておくのは危険。10度以下になると菌が繁殖しにくくなる。

暖房をつけた冬の室内は、普通に20度を超える。菌の繁殖にとっては条件が整っている。夏に比べれば増殖速度は遅いけど、一晩置けば十分に危険なレベルになりうる。冬だから安心、という感覚で長年やってきた人は多いと思う。でもその感覚は正確じゃない。

正しい保存方法を知ると行動が変わる

怖い話ばかりしてきたけど、対処法はシンプル。問題は知っているかどうかだけで、知っていれば難しくない。

素早く冷やして冷蔵庫に入れる、それだけ

調理後は鍋のまま放置せず、浅い容器に分けて冷ます。氷水や冷蔵庫を利用して素早く冷却する。再加熱のときは全体を均一にしっかり温める。とりあえず鍋にラップして常温で放置という習慣は危険で、特に夏場や梅雨時期は菌が繁殖しやすいため注意が必要。

氷水を張ったボウルに鍋ごと入れて冷やす方法が早い。ぐるぐるかき混ぜながら冷やすと、鍋の中心部まで早く温度が下がる。冷えたら冷蔵庫へ。この手順を踏めばリスクはかなり下がる。

熱いまま冷蔵庫に入れると庫内の温度が上がって他の食品が傷む。だから一度急冷してから入れる、という順番が大事。

冷蔵で2〜3日、冷凍で1ヶ月が目安

スープは常温でおいておくと長くても半日しか日持ちしない。冷蔵保存の場合は2日から3日は日持ちする。冷凍したスープは1ヶ月保存が可能。常温保存後や冷蔵保存後のものを冷凍するのはNGで、食べきれない場合は最初から冷凍保存する。

大量に作ったときは最初から冷凍保存が安全。常温で一晩置いたあとに冷凍しても、すでに菌が増えている可能性があるから意味がない。この順番の理解が重要。

この話を食卓でするときの使い方

スープやカレーを前日から作り置きする人はとても多い。翌日のほうがおいしくなる、という話もあって、一晩置く習慣は広く定着している。だからこそ、知っていると知らないで大きな差が出る話題。

再加熱しても死なない菌がいる、というインパクト

ちゃんと加熱したから大丈夫という感覚は多くの人が持っている。そこに、再加熱しても死なない菌がいて、スープやカレーはそれが増えやすい、という情報を渡すと反応が大きい。え、じゃあどうすればいいの?という流れが確実に来る。

氷水で急冷して冷蔵庫へ、という対処法をセットで渡すと、怖がらせっぱなしにならずに済む。食中毒の話は怖さだけで終わると場が暗くなる。解決策とセットにすると話として完結する。

作り置き派か毎日作る派か、という話に広がる

ウェルシュ菌の話から、あなたはスープを作り置きする派?という問いに繋げると、食生活の話になる。一人暮らしか家族と住んでいるか、料理にかける時間をどう考えているか、という話が自然と出てくる。食と生活スタイルは直結しているから、話が広がりやすい。

給食病という別名がある、という話も使える。給食で大規模な食中毒が起きるのも同じ菌が原因で、大量調理の鍋の中心部が菌にとって理想的な環境になるから。学校の給食で食中毒、という話は誰でも記憶のどこかにある話題で、そこから連想が広がる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

会話のタネ編集部
日常のちょっと話したい、でも何を話せばを解決するために生まれた編集チーム。
人間観察が好きで、感情をそのままぶつけるのではなく、エンタメとして包んで伝える時代のコミュニケーション雑談のコツや話題の見つけ方を研究しています。
読んだその日から使える軽やかな会話術をお届けします。

コメント

コメントする

目次