ハワイの写真でみんながやっているあのポーズ、名前すら知らなかった
親指と小指を立てて、手をフリフリするあのポーズ。ハワイの写真で必ず誰かがやっている。自分も旅行のときに真似してやった。でもあれの名前、知らなかった。アロハポーズ、って勝手に呼んでいた。
調べたら、正式にはシャカサインという名前があった。しかも由来が想像と全然違った。リゾートの陽気なノリから生まれたんだろうと思っていたら、サトウキビ工場で指を3本失った男性の話に行き着いた。
シャカの起源は事故で中指3本を失った男性
シャカの起源にはいくつかの説があるがその中でも有名なのがハマナ・カリリにまつわる話。彼はオアフ島ライエのサトウキビ工場で働いていたときに事故で真ん中の3本の指を失った。その後親指と小指だけを使って挨拶するようになり人々が彼のことを思って同じポーズをするようになったという説。
真ん中の3本の指がない手。残った親指と小指で手を振ると、自然とあのシャカの形になる。陽気なポーズの起源が、労働災害で指を失った一人の男性の手の形だった。この事実を知ると、あのポーズの見え方が変わる。リゾートの記号だと思っていたものに、一人の人生が刻まれていた。
カフクの砂糖精製工場で働いていたハマナ・カリリという方がいた。彼は圧搾の担当で毎日ローラーでサトウキビの汁を絞っていた。ある日不運にもローラーに右手を挟まれてしまい人差し指と中指、薬指の3本の指をつぶされてしまった。これでこの工場ではもう働けない。しかし上司は彼を見捨てたりはしなかった。
ハマナ・カリリは実在の人物。モルモン教教会の聖歌隊の指揮者も務めていて、ポリネシアカルチャーセンターには彼の銅像も建っている。架空の話ではなく、ちゃんと記録が残っている。
子どもの列車飛び乗りを止める仕事から広まった
事故で指を失った後に雇用主が彼の配置換えをし汽車の保安係に任命したという話もある。彼の仕事の1つは駅の手前でスピードを落とす汽車に子どもたちが面白半分で飛び乗るのを防ぐことだった。やがてその仕草はハマナ・カリリに邪魔されずに列車に飛び乗れるサインとして子どもたちの間で使われるようになった。これがシャカサインのルーツだと言われている。
指を失った後、サトウキビ列車の保安係になった。子どもが危険な列車に飛び乗らないように見張る仕事。彼が手を振って合図する様子を、子どもたちが真似した。皮肉なことに、子どもたちは彼がいないときを知らせる合図としてあのポーズを使っていた、という説もある。いずれにせよ、彼の手の形がハワイ中に広まっていった。
シャカという言葉自体はハワイ語じゃない
ここも意外な話。シャカという呼び名の由来が面白い。
シャカという言葉自体はハワイ語ではない。この言葉は中古車販売業者のデヴィッド・リッピー・エスピンダによるもの。エスピンダはこのジェスチャーをシャカという言葉と結びつけた最初の人物で1960年代のテレビ広告でシャカサインをしながらキャッチフレーズのシャカ・ブラと言って締めくくった。日本語に由来する可能性も高いと言われている。
シャカという名前は、中古車のテレビCMから広まった。販売業者がポーズと一緒に使ったキャッチフレーズが定着した。しかもシャカという言葉が日本語由来の可能性がある、という説まである。釈迦から来ているという説もあって、仏教の釈迦が手を組む形に似ているからとも言われている。真偽は曖昧だけど、ハワイの象徴的なポーズの名前に日本語の影が指している、というのは面白い話。
手の向きで意味が変わるという話
同じシャカでも、手の向きで意味が違う。
シャカサインは相手に手の甲を見せるか手のひらを見せるかによって意味合いが異なる。相手に手の甲を見せると良い調子、大丈夫、頑張ろうなどの意味合いに。一方手のひらを見せるとありがとう、こんにちは、またねなどの挨拶の意味になる。どちらを使ってもポジティブで暖かみのある気持ちを表現できる。
手の甲を見せると励まし、手のひらを見せると挨拶。とはいえ厳密に使い分けなくても、どちらもポジティブな意味だから神経質になる必要はない。シャカは基本的に良い感情を伝えるサインで、間違った向きでも悪い意味になることはない。
アロハポーズは基本的にはカジュアルな状況での使用が適している。フォーマルな状況やビジネスの場などでは不適切と見なされる可能性がある。アロハポーズはアロハスピリットを象徴するもので友情、愛情、平和、慈悲などの価値を包含している。したがって挑発的な意味で使用したり侮辱や軽蔑を表すために使用するのは非常に不適切。
カジュアルな場面のサイン。アロハスピリットを表す前向きなジェスチャーだから、ふざけて侮辱的に使うのはマナー違反になる。文化への敬意を持って使うのが大事。
この話が会話のタネになる理由
ハワイに行ったことがある人、写真であのポーズをやったことがある人は多い。でも由来を知っている人はほとんどいない。
陽気なポーズの起源が労災だったという逆転
あのアロハポーズ、実は事故で指を3本失った人の手の形が起源らしいよ、という話をすると、え、そうなの、という反応が確実に返ってくる。リゾートの記号だと思っていたものに、一人の人生の物語があった、という構造はインパクトが強い。二枚目の由来が歌舞伎の看板だった話と同じで、当たり前に使っている記号の裏に意外な歴史がある、というパターン。
シャカという名前が日本語由来かもしれない話
シャカという呼び名が中古車のCMから広まって、しかも日本語の釈迦が由来かもしれない、という話を続けると、さらに驚かれる。ハワイの象徴に日本語が関わっているかもしれない、という意外な接点。旅行の話をしている流れで出すと、ハワイに行ったときの思い出話や、現地で見たローカルの仕草の話に広がっていく。ポーズの意味から始まって、文化と歴史と言葉の話になる、雑談として深くなる展開になる。

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