鏡を見たら、鼻から黒い棒みたいなのが出てた
朝、洗面台で顔を洗って顔を上げたら、鼻の穴から黒い毛が出ていた。細い毛じゃない。明らかに太い。なんか棒みたいな質感。いつの間にこんなことになっていたのか、という感じで、鏡の前でしばらく固まった。
鼻毛が出ること自体は珍しくないけど、太くなってきた、という変化に気づいたのは30代後半くらいだった。昔は細くてそれほど気にならなかったのに、処理しても処理してもすぐ目立ってくる。しかも太い。あれ、体の中で何が起きてるんだろうという疑問がずっとあった。
鼻毛が太くなる原因は三つある
鼻毛が太くなる原因は主に三つで、男性ホルモンの増加、空気の汚れや乾燥による防御反応、加齢による毛周期の変化がある。
三つが重なって起きているケースも多い。どれかひとつではなく、全部が同時に影響していることがある。それぞれに仕組みが違うから、知っておくと対処の方向も変わる。
男性ホルモンが毛を太くするという仕組み
鼻毛が太くなる最も大きな要因のひとつが加齢に伴うホルモンバランスの変化。男性ホルモンであるテストステロンは体毛の成長を促進する働きがあり、その派生物質であるDHTは毛を太くする作用を持っている。40代以降になると頭髪は細くなる一方で、鼻毛や耳毛といった部位の毛は逆に太く硬くなる傾向が見られる。これはホルモンの分泌バランスが変化することで起こる自然な現象。
頭の毛は細くなるのに、鼻毛は太くなる。同じ体の毛なのに逆方向に変化する。部位によって毛の変化の方向が違うのは、毛根の受容体がホルモンへの反応の仕方が異なるから。頭の毛根と鼻の毛根は別の設計になっている。この逆転が、何十年も生きてきた人体の不思議さを感じさせる話。
女性でも同じことが起きる。女性の体内にも男性ホルモンは分泌されていて、ホルモンバランスが乱れて男性ホルモンが優位になると鼻毛が太くなることがある。鼻毛の変化が、体内のホルモン状態のサインになっている場合がある。
空気が汚いほど鼻毛が育つという話
これ、知っていた人はほとんどいないと思う。
鼻毛はフィルター、汚れが多いほど太くなる
鼻毛には外部から入ってくるホコリや花粉、ウイルスなどをフィルタリングする重要な役割がある。空気が乾燥している環境や大気汚染が激しい場所に長時間いると、体は防御機能を高めようとして鼻毛を発達させることがある。喫煙者の鼻毛が太くなることもある。
体がフィルターの性能を上げようとして、鼻毛を太くする。空気中の汚れが多いほど、防御を強化する方向に体が動く。工場近くや排気ガスが多い環境で働いている人、喫煙者、大気汚染の激しい地域に住んでいる人は、鼻毛が太くなりやすい。
自分の体が汚れた空気に反応して、鼻毛というフィルターを強化しようとした結果があの極太の毛、という解釈もできる。不思議なことに、鼻毛を完全に除去してしまうと防御機能が落ちる。全部抜くのではなく、穴から出ている部分だけ処理するのが正しいとされているのはそのため。
鼻毛を抜いてはいけないというのも知らない人が多い
鼻毛を抜く習慣がある人、けっこう多い。でも専門家は一致してやめるよう言っている。
鼻毛を根元から抜くと毛穴に小さな傷ができて細菌が侵入しやすくなる。鼻の中には脳に近い血管が通っていて、鼻の中の感染が脳に波及する危険性がゼロではないとされている。鼻毛を抜くと痛みを感じるのは神経が集中しているためで、その周辺は粘膜もデリケート。
脳に近い場所に傷を作る行為、という見方をすると一気に怖くなる。鼻毛は抜かずにカットするのが正解。これを知らずに何年も抜いていた人が、この話を聞いてやめた、という話を何人かから聞いたことがある。
加齢で毛周期が変わるという話
鼻毛や耳毛が長く伸びたお爺さんを見かけることがあるが、体毛は加齢によっても長く伸びやすくなる。年齢を重ねるほどに毛周期が長くなるから。年齢とともに新陳代謝が悪くなり毛周期は長くなる。一度生えた鼻毛は自然に抜け落ちるまで時間がかかり、その分だけ長く伸びることになる。
若いときは毛周期が短くて、ある程度の長さになると自然に抜ける。年を取ると抜けるまでの時間が長くなって、同じ毛がどんどん伸び続ける。あの白髪の長い鼻毛が飛び出ているお年寄りの状態、ホルモンと毛周期の変化が合わさった結果。
さらに、鼻の中の皮膚がたるんだ分だけ鼻毛は鼻の穴から出やすくなる。口元や顎など鼻の下の皮膚がたるんでも鼻の毛穴が下方向に引っ張られ鼻毛が見えやすくなる。
毛自体が長くなっているのに加えて、皮膚が下がって毛穴の向きが変わる。二重で見えやすくなる。処理しているのにすぐ目立つ、という感覚がある人は、毛の成長だけでなくこの物理的な変化も関係している可能性がある。
鼻毛の話が会話のタネになる場面
誰もが持っていて、誰もがケアしている話題。でもここまで深く考えたことがない人がほとんど。
誰かに言われた経験がある話が出てくる
鼻毛出てるよ、と言われた体験談、ある人は必ず覚えている。言われた瞬間の恥ずかしさとともに記憶が蘇る。その経験を持つ人に、空気が汚いほど鼻毛が太くなるという話をすると、じゃああれは体が頑張ってた証拠か、という解釈になって、恥ずかしい記憶がちょっとだけ書き換えられる。
頭の毛は細くなるのに鼻毛は太くなるという逆転の話
同じ体の毛なのに、加齢で細くなる毛と太くなる毛がある。この逆転が会話で面白い話になる。なんで鼻毛だけ太くなるの?という疑問に対して、部位によって毛根のホルモン受容体の設計が違うから、という答えが出せると話として完結する。
鼻毛を抜くと脳に影響する可能性がある、という話も続けて出すと、え、それ本当に?という反応になる。ちょっと怖い話として記憶に残る。鼻毛という日常的で地味なテーマが、体の仕組みと生存戦略の話になっていく展開、雑談として一番面白くなるパターンだと思う。

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