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かっちゃくは北海道弁で引っかくこと!方言が会話を一気に縮める理由

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道産子の友人に猫にかっちゃかれた、と言われた瞬間

北海道出身の友人が、猫を飼い始めたと言って写真を見せてくれた。かわいい、と言ったら、でもよくかっちゃくんだよね、と返ってきた。

かっちゃく?なにそれ?という顔をしたら、え、引っかくって意味だよ、方言だったっけ?という反応が返ってきた。方言だったっけ、という言い方が面白くて。本人も方言だと思っていない方言、というやつ。この構造、全国各地にある。

かっちゃくは北海道弁で引っかく、かきむしるという意味

北海道弁のかっちゃくは、ちょっと乱暴に触る、つつく、引っかくといった意味合いで使われる語。場面によっては軽い注意や冗談、さらには本気の叱責まで幅広く使われる。

主に猫や子どもが爪を立てて引っかくことを表現する。猫にかっちゃかれた、という使い方が典型的で、農業に従事する人が地面をクワで掘る場面で使うこともある。

発音はちゃのあたりを少し強めに。かっちゃく。声に出すと独特のリズムがある。引っかくという標準語よりテンポが良くて、なんか勢いがある感じがする。言葉の音として面白い。

北海道弁は方言だと気づかれにくい、という特殊な事情

北海道弁の厄介なところは、方言らしくないこと。関西弁や東北弁は聞いた瞬間に方言とわかる。でも北海道弁は標準語に近いから、本人も周りも気づかないまま使い続けている。

北海道弁は明治時代以降、本州からの移住者が増加し、彼らが持ち込んださまざまな地域の方言が混ざり合って独自の言葉として発展した。特に東北地方からの移住者が多かったため、北海道弁の基盤は東北方言にあるとされている。発音やアクセントは東京の標準語とほぼ同じことが多く、北海道出身者が関東地方に移住しても言葉の面での違和感が少ないとされている。

つまりかっちゃくは、東北から北海道に渡った人たちが持ち込んだ言葉が土台になっている可能性がある。開拓時代に全国から人が集まって、言葉が混ざり合って、独自の語彙ができた。一つの単語の中に北海道の歴史が入っている。

かっちゃくより難しい北海道弁がまだある

かっちゃくを知ると、他の北海道弁も気になってくる。難しい北海道弁ランキングというアンケートがあって、そこに面白い単語が並んでいる。

じょっぴんかる、ごんぼほる、あずましくない

意味が難しい北海道弁の1位はじょっぴんかる(鍵をかける)、2位がごんぼほる(駄々をこねる、ぐちぐち言う)、3位があずましくない(居心地が悪い)だった。

じょっぴんかる。音だけ聞くと何が起きているのか全くわからない。鍵をかけるという動作に、ここまで独特の音の言葉があること自体が驚き。ごんぼほるも、牛蒡を掘るという動作から来ているとされていて、地中深く根を下ろした牛蒡を掘る面倒くささを、駄々をこねる人間に重ねた言葉らしい。なぜ牛蒡なのかは謎のまま。そこが面白い。

あずましくない、は居心地が悪いという意味で、こっちは少し音から意味が推測できる。あずまし、という肯定形もあって、居心地がいいという意味になる。でも否定形のあずましくないの方が圧倒的によく使われるらしい。

おだつ、わや、なまら、このあたりが使いやすい

北海道弁の中でよく知られているものに、なまら(とても、非常に)、わや(めちゃくちゃ、収拾がつかない)、おだつ(ふざける、調子に乗る)、けっぱる(がんばる)、げっぱ(最下位、ビリ)などがある。

なまら、は音がかわいくて覚えやすい。なまら旨い、なまら寒い、という使い方で、とても、に置き換えられる。けっぱる、はがんばると違って少し泥臭い感じがする。ふんばって、じたばたして、それでもやる感じ。ニュアンスが微妙に違う。

方言の話題が会話で最強な理由

かっちゃくを知らない人に使ってみた。引っかくっていう北海道弁で、かっちゃくって言うらしいよ、と。その場にいた6人のうち、知ってたのは北海道出身の1人だけで、残り5人は知らなかった。でも5人全員が、それいいね、という反応だった。かっちゃく、かっちゃく、と声に出して繰り返す人もいた。

方言は出身地という個人情報を引き出す鍵になる

方言の話を始めると、自分の出身地の話が自然と出てくる。かっちゃくを知ってるということは北海道に縁がある、という情報がそこから出てくる。出身地が違う人同士だと、自分のところではこう言うよ、という話になる。

方言は地域を背負っている。その地域で育った人だけが知っていて、当たり前のように使っていた言葉。それを共有するとき、相手のことが少し見えてくる。どこで育ったか、どんな言葉の中で生きてきたか。雑談の中で人のバックグラウンドを知れる、という意味では方言の話題は相当使いやすい。

道産子が方言だと気づいていない、という構造が面白い

北海道出身者に、かっちゃくって方言だって知ってた?と聞くと、え、方言だったの?という反応が多い。自分が使ってきた言葉が方言だと気づいていない。この発見の瞬間が、その人にとって記憶に残る体験になる。

自分が使っている言葉が実は方言だったと気づく体験、全国の人が持っている。大阪の人なら捨てるをほかすと言って、他地域で通じなかった経験があるかもしれない。東北の人ならいずい、という感覚が標準語にはないと気づいた瞬間があるかもしれない。その体験談を引き出すきっかけとして、かっちゃくという一つの方言が機能する。

手袋をはく、という北海道弁のインパクト

北海道では手袋をはくという表現が当たり前のように使われていて、道産子が方言だと気づかずに使うほど頻出の言葉になっている。これは手袋がもともと手靴と呼ばれていたことに由来していて、手にはく靴という考え方から自然にはくという表現になった。

手袋をはく。靴をはく、ズボンをはく、の感覚で手袋もはく。でも道外の人には手袋はつけるか、する、という感覚のほうが自然で、はくという動詞が来るとぎょっとする。この小さなズレが、会話の中で面白い瞬間を作る。方言って本当にそういうもので、何十年も気づかないで使っていた言葉が、誰かの反応によって初めて方言だとわかる。

かっちゃく、という音が好きになった。引っかくより勢いがあって、短くて、伝わりやすい。標準語にない音の言葉が、誰かとの会話で出てきたとき、そこに少しだけその人の育った場所が滲み出る。

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この記事を書いた人

会話のタネ編集部
日常のちょっと話したい、でも何を話せばを解決するために生まれた編集チーム。
人間観察が好きで、感情をそのままぶつけるのではなく、エンタメとして包んで伝える時代のコミュニケーション雑談のコツや話題の見つけ方を研究しています。
読んだその日から使える軽やかな会話術をお届けします。

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